6/22(金)のNY市場は原油高を背景にダウが上昇、前日比119ドル高となりましたが、週を通してはトランプ大統領による強硬的な関税発言を嫌気して▲2.03%となりました。日経平均も週間で▲1.47%の下落、制裁関税の対象となっている中国では、上海総合指数が▲4.37%下落と2週連続で52週安値を更新しています。
2015年のチャイナショックとの比較チャートからいまだ抜け出せない日経平均ですが、足元のチャート形状は、23000円で上値を抑えられながら、5/30の安値(21931.65)・6/20の安値(22167.16)と下値を切り上げる上三角形のチャートパターンを示しており、また騰落レシオも4月下旬の127から80まで低下しており、一度23000円を抜けて23500円までの上昇が見込めるかもしれません。
短期的な反発とは別に、リスクシナリオについて、当レポートの6月1日号で紹介したTOPIX版のヒンデンブルクのオーメンですが、6/18に2回目の警告が点灯、2007年7月以来の警戒シグナルとなりました。過去30年でこのサインが点灯したのは今回を除くと3回です。1997年はアジア通貨危機/翌年ロシア・ルーブル危機が発生しました。1999年はITバブルのピークに向かう最後の上昇局面でサインが発生し、2007年はパリバショックとなりました。
ウィークリーレポート(2018年6月1日号)
http://kosei.co.jp/wordpress/?p=6178
今の経済状況と過去のシグナル発生時の状況を比較すると、2007年7月のケースでは米国景気が後退する中で発生しており、今が景気のピークかあるいはまだ景気が伸びるかという現在の状況とは違いそうです。
また、1999年は前年のロシア・ルーブル危機に端を発したLCTM破綻を受けFEDが緊急利下げを実施、それに伴いIT関連株が急騰する最中に起こっており、順調に利上げを続けている2018年とはやはり状況が異なります。
最後に、1997年のアジア通貨危機のパターンですが、上海総合指数・ブラジルボベスパ指数など年初来安値の水準にあり、またトルコやインドネシアなど対ドルで通貨防衛の介入を行う国も続出しており、1999年ケースや2007年ケースと比較すると1997年のような新興国ショックが起こる可能性が高そうです。
投資部門別売買動向ですが、~6/15の週に海外勢は5475億円の買い越しでしたが、~6/22の週の先物の手口情報では外資系証券は推計で13855枚の売り越しとなっており、足元では既に売り越しに転じている可能性があります。
図.オーメン点灯後のTOPIXの推移(2018/6/18に株価を基準化)