5/28~6/1の週は、イタリアの政局混迷、MSCIリバランスによる日本株売りなどで、日経平均は▲1.24%となりました。週末の6/1にトランプ大統領は、一度は中止すると言った6/12の米朝会談を開催すると表明しました。
これまでチャートの値動きが似ているということで、2015年チャイナショック時の日経平均との比較チャートを掲載してきました。チャートの比較からは、戻り高値を一旦つけ、これから再度、下落局面へと移行しそうです。2015年当時は、この2度目の下落局面でNYダウ▲1,000ドル安などと大荒れとなり、現在の日経平均の水準に合せると19,000円割れまでの下落となりました。
当期及び来期予想PERの加重平均から、日経平均のレンジを計算すると、2015年当時はレンジの上限近くから2度目の下落が始まっているのに対し、今回の戻りはレンジ中央にも届いていません。企業業績の堅調な見通しが下支えとなり下落は2015年当時よりも小幅になりそうです(図B)。
短期的には上述のように、20250円あたりで底入れして年末に向けて再度上昇、というシナリオを想定していますが、日本以外の市場、特に新興国では、FRBの利上げによりトルコ・インド・インドネシアなど通貨防衛の為の為替介入を実施する国も出てきており、好景気の局面も終盤に近いづいている感もあります。米国の2年-10年債スプレッドはまだ逆イールドになっておらず、あと1~2年は相場は大丈夫なのではないかと思いますが、往々にして予想は外れるもので、1~2年どころか5年も大丈夫だった、あるいは、1~2年は大丈夫と思っていたら来月には暴落した、なんてこともあります。
そこで、相場の大局的な先行きを占う指標として、2008年のリーマンショックを予言していたと有名になったヒンデンブルグのオーメンを取り上げてみたいと思います。
ヒンデンブルグのオーメンは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場銘柄を対象にしたNSYE Indexについて、
・条件A :当日に52週高値と52週安値を更新した銘柄の上場銘柄数に占める比率が2.5%以上
・条件B:当日に10週移動平均が上昇(または、50日前株価より当日株価が高い)
・条件C:マクレラン・オシレーターがマイナスで推移
という3つの条件を同時に満たす日が30日以内に2回現れた場合にサイン点灯します。
非常に分かりにくい条件ですが、要約すると、指数が上昇し指数構成ウェイトの高い銘柄が52週高値を更新している一方、それ以外の多くの銘柄が52週安値を割り込んでいるという状況です。ロング・ショート系ヘッジファンドの大規模な解約や、株式比率を目一杯下げてこれ以上比率を下げられない機関投資家が仕方なく時価総額の大きい銘柄に資金を移しているような状況を捉えているのではないかと思われます。
この指標を日本市場版という事で、東証一部上場銘柄を対象に計算すると、図Cのように、1997年アジア通貨危機、2000年ITバブル崩壊、2007年パリバショックと、相場が変調をきたす前に2度のサインを出しています。
さて、このヒンデンブルグのオーメン(日本版)ですが、6/1に52週安値更新銘柄4.71%、52週高値更新銘柄2.64%と怪しい動きとなり1度目のサインが点灯しました。30日以内に再度サインが出るようでしたら、短期的な見通しとは別に、一度リスク資産のウェイトを見直した方がよいかもしれません。